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①沖縄において使用されている他人の発明・考案・意匠を使用する行為。②沖縄において広く知られている他人の商標を使用し他人の商品と混同を生じさせる行為。 そして、丁度良い機会であったので、前号で述べた他府県人による沖縄にゆかりのある建造物,美術,芸能等の名称に関する商標権が取得されつつあることの現状説明をしたところ、記者は大変驚いた様子で、これを投稿形式で書面に纏めてくれるよう依頼された。そこで、数日後にタイムス社あてに原稿を送付したところ、それが昭和50年4月9日の同社夕刊の「論壇」に掲載された。この掲載が契機となって、沖縄県ではそれまで全く取り上げられたことの無い知的財産権についての関心が俄かに高まることとなった。新聞には、沖縄タイムスのみならず,琉球新報や、九州地方の他紙にまで、沖縄の商標についての現状の記事のほか、「弁理士とは」というコラムが掲載されたり、投書欄に「沖縄のちんすこうを守りたい」と題する投書が掲載されたりし、タイムス社からは、丁度,企画段階にあった沖縄大百科事典(*2)に「工業所有権」の項目を設けるので、知財についての沖縄の現状と「ちんすこう」に触れた記事の執筆をしてほしいとの依頼を受けたりもした。更に私を驚かせたのは、刑務所に収容されている受刑者からの手紙である。弁護士と弁理士とを混同していて、無実の罪で服役させられているので救出してほしいと訴えるものであったが、「ちんすこう」問題は刑務所内でも知られるほど沖縄の人々にとって大きく関心がもたれたニュースであったことが窺える。(*2)沖縄大百科事典は、昭和58年(1983年)4月30日、沖縄タイムス社が同社の創刊35周年を記念して刊行した上・中・下3巻、別巻1巻からなる沖縄初の大百科事典で、凡そ17,000項目から成り図書館協会選定図書となっている。 このような状況の中で、発明協会沖縄県支部(現在は,一般社団法人沖縄県発明協会)の事務局長・宮城秀平氏から連絡が入り、沖縄を訪問することとなった。私は、小学校3年生の夏休みに、那覇に帰るという親の知人の護衛つきで基隆の港から船で沖縄に行き、那覇市内の親戚宅に単独で40日ばかり滞在したことがあるが、その当時のことはおぼろげにしか記憶が無い。しかし、那覇空港に降り立ったときには、ここが両親の生まれ育った地だと思うと地面にひれ伏したい感動で、これからは沖縄のためにやるぞという気持で自然に涙が溢れ出た。空港では宮城局長の出迎えを受け、当時,那覇市壷川にあった事務所に伺った。事務所は、平屋の建物で沖縄県工業連合会と同室で、連合会の小浜 徹氏に初めてお目にかかったのもその時と記憶している。この訪問を機に、発明協会沖縄県支部とは緊密な連携が始まることとなる。講習会や研修会をはじめ、毎年秋に催されている「沖縄の産業まつり」の呼び物の一つ「発明くふう展」の審査員等,今日まで、沖縄県の知財関係の問題や行事に多く関わることとなった。 ところで、前号に記載した他府県人の商標出願公告への対応であるが、先ず何としても「ちんすこう」の権利化を阻止しなければならないので、場合によっては親戚の誰かの名義を借りて異議申立をしようと資料の収集を始めた。そこへ県内の菓子業者から連絡が入り、同業者が集まって協議したが菓子業者にとっては重大な問題であるから、是非,異議申立をしてほしいとの依頼となった。そこで、具体的な作業に着手することとなったのであるが、併せて、「県内の菓子業者の中に、ちんすこうは自分だけが使用権を持っているので他人は使えない、と主張して弁護士から使用中止の申入れを受けている業者もいるが、どのように対応すれば良いか。」との相談もあった。そこで「ちんすこう」という菓子の普通名称が仮に或る人が創作した語であるとしても、現時点では普通名称化しているので独占権は無いという説明をしたところ納得し、結局,自分の権利だと主張していた者を除く計27人(社)が異議申立人として名を連ね、昭和50年6月6日に特許庁長官あてに異議申立書を提出した。異議理由は、当然,商品の普通名称であることを主張するもので、これを立証するため国立国語研究所編・大蔵省印刷局発行の「沖縄語辞典」、中山盛茂編・「琉球史事典」その他の書証を17点、検証物を9点提出した。そして早速,そのContribution 寄 稿15 OKINAWA INDUSTRIAL FEDERATION NEWS