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概要

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 事務所に見えた沖縄タイムス社の記者は謙虚な方で、自ら知的財産権についての知識はゼロと言っても良いくらいなので初歩的なことから教えてほしいとのことであった。そこで、大まかではあったが、復帰前の沖縄におけるこの種の権利保護が不正競争防止法により行われていたこと(*1)、また、本土の特許法等の効力は沖縄には及ばないため、沖縄の居住者は本土の特許権等とは無関係に営業活動が出来る状況にあったこと等を説明した。そして、我が国の現在の特許や商標についての制度を簡単に述べ、昭和46年(1971年)に公布された「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」(通称・沖縄復帰特別措置法)によりこれがどのように運用されるのか、について特許庁から発表されていた次のような対応について説明をした。特許法・実用新案法・意匠法に関する特例①復帰の際,沖縄にある物には、復帰前にした本土の特許出願に係る特許権の効力は及ばないこととする。但し、その物が特許出願後に沖縄において生産・輸入されたものである場合には、その物が引続き沖縄県の区域内にある場合に限る。②復帰前、本土の特許出願に係る発明の内容を知らないで自ら発明を行った者等がその特許出願の際沖縄においてその発明の実施である事業又は事業の準備をしていたときは、その者はその特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。③復帰の際、沖縄において復帰前にした本土の特許出願に係る発明の実施である事業をしている者は、沖縄県の区域内に限り、その特許出願に係る特許権について通常実施権を有する。④実用新案権及び意匠権についても、特許権についての特例措置に準じた措置を講じる。商標法に関する特例①復帰前にした本土における他人の商標登録出願に係る指定商品等について、その商標またはこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際又は復帰の際、沖縄においてその商標が自己の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたときは、その者はその商品についてその商標の使用をする権利を有する。②本土の商標権者または専用使用権者は、前記①の商標の使用をする権利を有する者が本土においてその商標を使用する場合には、その者に対しその者の商品と自己の商品との混同を防ぐのに必要な表示を付すべきことを請求することが出来る。③復帰前にした本土における他人の商標登録出願に係る指定商品等であってその商標またはこれに類似する商標を付したものを輸入していた者は、復帰の日から5年間、沖縄県の区域内に限り、当該業務について当該商標を使用することができる。④防護商標登録に基づく権利についても、商標権についての特例措置に準じた措置を講じる。(*1)復帰前、沖縄における工業(産業)所有権の保護は、審査・登録制度を持つ本土の特許法とは異なり不正競争防止法によりなされ、次の行為を不正競争として規制していた。知財徒然草美ら島沖縄大使(弁理士)新 垣 盛 克(2) 連載略歴昭和4年2月7日生まれ。昭和23年より東京高等裁判所に勤務、裁判所書記官として知財関係訴訟事件を担当しながら昭和37年に弁理士試験合格。沖縄県に弁理士が1人もいない頃から、沖縄県内の知的財産権保護に尽力した。長年、沖縄県発明協会が主催している「発明くふう展」の審査委員を務める等、沖縄の特許に関する普及啓発に深く関わっている。寄 稿OKINAWA INDUSTRIAL FEDERATION NEWS 14