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鹿児島県の菓子業者が出願した「ちんすこう」の商標が出願公告となっているのを知った。出願公告とは、審査官が、出願商標につき登録可と判断したものを念のため公衆審査に付し、登録に異議のある第三者に異議申立ての機会を与えるための手続である。(この制度は、その後の法改正により権利設定登録後に行なうものと改められた。)出願公告となっている「ちんすこう」の文字を見た私はどこかで聴いたことがある言葉と思ったので、当時,未だ生存していた母に尋ねたところ、沖縄に戦前からあるクッキーの一種で「ラード,小麦粉,砂糖を原料とし、これを木型に入れて焼き上げた菓子」即ち,商品の普通名称であるという答えであった。商標は、自己の商品・役務と他人の商品・役務とを識別するための標識であるから、商品の普通名称を商標に付して使用しても(例えば饅頭に「饅頭」という商標を付すようなもの)識別の役目を果たすことは出来ないし、また,そのようなものを特定人に独占させるのは相当ではなく、商標法もその登録を認めていない。「ちんすこう」は、「大福」「せんべい」「タルト」「パイ」などと同様に菓子の普通名称であるから、当然,登録されるべきものではない。審査官は沖縄県固有の菓子「ちんすこう」の存在を知らなかったため登録性ありと判断したのであろうことは、容易に推測できる。 このような事例のあることを知ったので、商品の区分の全てについて、改めて登録異議申立期間(2か月)内にある商標公報をチェックし直したところ、次のように、多くの区分で沖縄県ゆかりの地名,建造物,民謡,工芸品等の名称等が,東京都をはじめ他府県の個人・法人の名で出願され出願公告となっているのを発見した(*2)。商品の区分は、昭和34年法当時の分類である。第11類 「安里屋」「ユンタ」「守礼」 「デイゴ」第16類 「本琉球」「琉球美人」 「琉球王朝紅型」第24類 「傘の図形+うるま」第25類 「守礼」第26類 「左御紋の図形」第28類 「山原」第29類 「びんがた」「琉舞」 「シークァーサー」第30類 「ツンダラカヌシャマヨ」 「谷茶前節」「てんさぐ」 「沖縄育ち」「琉球王」 「守礼の里」「琉球の女」 「沖縄の女」「琉球絵巻」 「那覇の女」「南国の女」 「安里屋ゆんた」「琉球王朝」 「琉球娘」第32類 「守礼門」「守礼の邦」 「びんがた」「琉舞」 「うちなーすば」(*2)その後,20余年を経た平成16年頃、中国では「ささにしき」「こしひかり」等,米の有名な商標をはじめ、各分野の著名商標や、府県名・都市名に至るまで中国人によって商標登録され、我が国ではそれらの商標が付された商品を中国に輸出できなくなっていることが報道されたが、沖縄県復帰時と同様のことが、日本対中国という国際的な規模でも行われていたことを知り妙に納得したのを覚えている。 そこで、これを放置しておくことは出来ないと考えたが、沖縄には知財関係についての知合いは全く無くどう対応すべきか悩んでいた。そのようなときに、タイミング良く沖縄タイムス社の記者から電話があった。「復帰後の沖縄県の知財関係の実情について取材のため特許庁を訪ね弁理士名簿を見せて貰ったのだが、五十音順のトップ「あ」の欄に新垣の姓を見付けたのでいろいろと話を聴きたい。」ということであった。(次回8月号に続く)OKINAWA INDUSTRIAL FEDERATION NEWS 16