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生物資源の機能性研究 ~酸化ストレスを軽減させる ボタンボウフウ(長命草)~ 工業技術センター(以下、当センター)は、様々な疾病の原因となる酸化ストレスを軽減させる植物の探索を進めてきました。今回、ボタンボウフウが、酸化ストレスの応答・防御に働く転写因子(Nrf2)を活性化させることを、はじめて明らかにしました。本稿では、機能性食品や薬用化粧品への新たな活用も期待できる本植物素材の機能性について、ご紹介します。 工業技術センターは、県内製造業への技術的支援を通して産業の活性化に貢献することを使命として事業に取り組んでいます。「製品の開発に関して技術的なアドバイスがほしい」、「製品の品質を上げたい」、「研究開発の支援がほしい」などの技術課題解決や新製品・新技術開発の支援が必要な場合にはお気軽にご相談下さい。沖縄県工業技術センター 企画管理班〒904-2234 沖縄県うるま市字州崎12番2 TEL:098-929-0111 FAX:098-929-0115 E-mail:kousi@pref.okinawa.lg.jp(メルマガを始めています。申し込みはHPからも行えます) ホームページ:http://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/kogyo/index.html図1 Nrf2-ARE 経路による酸化ストレス軽減機構図2 ボタンボウフウ図4 プテリキシンのNrf2 活性化作用図3 プテリキシン 生活習慣、化学物質、紫外線で生じる活性酸素に伴う酸化ストレスは、炎症、動脈硬化症、がんなどの様々な疾病の原因となります。 一方で、酸化ストレスの応答・防御に働く転写因子(Nrf2)は 、DNA の抗酸化剤応答配列(ARE領域)の抗酸化酵素や毒物代謝酵素の遺伝子を発現させることで、酸化ストレスから細胞を保護することが知られております(図1)。 当センターは、沖縄工業高等専門学校・平良教授と共同で、培養細胞を用いるレポーターアッセイにより、様々な植物抽出液のNrf2活性化作用を評価する研究を進めてきました。レポーターアッセイは、標的遺伝子の発現状態を簡便に、感度良く測定する方法です。Nrf2活性化を介した酸化ストレス軽減作用 当センターで保管している生物資源サンプルを対象にNrf2活性化作用を調べた結果、ボタンボウフウ(図2, Peucedanumjaponicum Thunb.)葉の50%エタノール抽出物に高い活性がありました。また、葉抽出物中の活性化合物は、高速向流クロマトグラフィーなどの方法で分離・精製し、核磁気共鳴スペクトルに基づきクマリン類のプテリキシンであることを明らかにしました(図3, 4)。このプテリキシンはNrf2-ARE経路を介して抗酸化酵素ヘムオキシゲナーゼ-1(HO-1)を発現させて、酸化ストレスを軽減させることも明らかとなりました。 本研究成果の詳細は、オープンアクセスの電子ジャーナル「Antioxidants 2019, 8 (12), 21.」で閲覧できます。研究成果15 OKINAWA INDUSTRIAL FEDERATION NEWS