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kouren658nn
7月、初めて沖縄に赴任することとなった。これまで沖縄振興を直接担当したことはなかったので、沖縄経済をつぶさに、そして間近にみるのは初めてだが、その活況は目を見張るものがある。 入域観光客数は年間1,000万人を超える勢いでハワイと同等の規模となり、観光収入も7,000億円を超えた。先日県が諮問した沖縄21世紀ビジョン基本計画等総点検報告書(素案)を見ても、特に観光関連では右肩上がりのグラフが並ぶ。 一方、製造業はどうか。沖縄の製造業は、従業者割合でみると全産業の5%程度と、日本全体の約15%に比べて著しく低く、製造業の振興が大きな課題の一つだ。だが、ものづくりが苦手な県民性とは思えない。琉球王朝時代から、建造物、焼き物、織物など、魅力的なものが多々ある。経済産業大臣が指定する沖縄の伝統的工芸品は16品目と、東京、京都の17品目に次いで全国屈指の多さだ。ものづくりのポテンシャルは、高いはずだ。 他方で、沖縄が、大田区や東大阪と同じようなものづくり集積の形成を目指すのが現実的とは思いにくい。近年沖縄では、情報通信や健康・バイオといった分野に重点的に取り組み、関連企業の立地等も進んできている。こうした成果を活用したり、島嶼県として本土以上に重要な環境問題にリサイクル等の技術を通じて取り組むなど、沖縄の伝統や地域特性なども活かし、沖縄が抱える課題解決に貢献する、沖縄らしいものづくりの在り方や振興方策を考えていくべきではないかと思う。 私自身、かつて経済産業省でものづくり政策担当の企画官をしていた経験もあり、この分野への思い入れは強い。ものづくり振興は一朝一夕で成果が出るものではなく、息の長い取組が必要だ。経済産業部としても、沖縄のものづくり振興を強く後押ししていきたい。 また、ピーク時には1,000億円を超えていた輸出が、直近数年間は停滞し、足元では約320億円(2017年)にとどまっているのも気になる。日本全体の輸出が、近年総じて増加傾向を示してきたことを考えれば、なおさらだ。 沖縄は、日本では珍しく自然増により人口が増加している県だが、2025年頃には人口減少に転じるとの推計もある。沖縄の企業が県内マーケット、国内マーケットのみを視野に入れるのではなく、アジアの中心という地理的な優位性を最大限にいかし、世界に一層積極的にチャレンジすることを期待したい。沖縄のものづくり内閣府沖縄総合事務局経済産業部長本 道 和 樹VOICEvol.116OKINAWA INDUSTRIAL 2