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ディーな進展が見込めるはずだ」とその狙いを説明。現段階はまだ「試行錯誤中の黎明期」としながらも、「農業は今後5年ほどの間に、情報を駆使して活用する分野に一気に変わっていくだろう」との見通しを示しました。 産総研の研究領域は、エネルギー・環境、生命工学など7つの分野に渡りますが、農業・食品を専門に扱う部門はありません。しかし「意外に全領域が絡んでいる」ため、「本来は工業用に開発された技術も、少し視点を変えるだけで農水産業へ転用できる」とのこと。扇谷氏は幾つかの事例を挙げ、コンクリート路面やトンネルのひび割れを検知する装置が、マグロの「脂ののり」や牛の「霜降り度」を非破壊で測定できることなどを紹介しました。 またAIを用いた農業・酪農に関する研究として、圃場内にいる農作業者の高精度検出技術や、乳牛の発情期を予測するシステムなどについて解説し、農業でますます超省力化・生産効率化・営農計画の最適化が進む可能性を例示。講演の最後には、農水省が推奨する産学官連携の仕組み『「知」の集積と活用の場』に、産総研主導のプラットフォームを立ち上げたことを報告しました。予知保全技術による設備保全コストの低減 続いてアルカディア・システムズ株式会社(本社大阪市)取締役の新田純也氏が講演し、設備保全コストの低減に向けたAI・IoTの活用方法を提案しました。同社は医療機器管理システムなどの開発で実績があるITソリューション企業で、昨年10月に那覇市IT創造館に沖縄開発センターを開設しました。 現在の設備保全は一般的に、あらかじめ設備メーカーが定めた寿命に基づき無条件に交換する「計画保全」と呼ばれる手法で行われています。その時点で構成部品が実際はどのような状態であるのか考慮しないため、交換に伴う不要なコスト増などが課題に挙げられており、新田氏は解決手段として「予知保全」への転換を提言。24時間365日、システムを遠隔監視しながら、高調波診断装置などで収集したデータをクラウドサーバーへ送信して解析し、劣化・故障を事前に予知して最適な時期に部品交換することで、保守費用の低減などを図るというシナリオです。各社独自にサーバーや高価な高調波診断器を用意する必要もなく、大がかりな設備投資をせず予知保全体制を構築できます。 新田氏はこのほか、AI・IoT技術の理解に必要な基礎知識の解説も行い、それぞれの歴史や身近な事例、機械学習・統計学・ディープラーニングの関係などについて分かりやすく説明しました。産総研イノベーションコーディネータ(IC)があなたの企業を訪問します 沖縄の製造業界はさまざまな取り組みを通じて、産総研との連携強化に努めています。沖縄県工業連合会の呉屋守章会長は、冒頭の主催者あいさつの中で「既存企業の生産性を上げるにはAI・IoT技術の進展が不可欠」と本セミナーの趣旨を述べるとともに、その実現のためにも「産総研の沖縄サテライト開設を期待したい」とかねてからの主張を訴えました。 扇谷氏と新田氏の講演後には、内閣府沖縄総合事務局の宇座守氏が「産総研イノベーションコーディネータ(IC)」の取り組みを紹介。沖縄県では平成30年度、 沖縄県工業技術センターの平良直秀研究主幹と山内章広主任研究員が産総研ICを担当し、産総研九州センターの坂本満上席ICと連携して、40社以上の県内企業を訪問しました。企業ニーズを掘り起こして産総研の技術シーズとのマッチングを図ると同時に、企業の技術課題の解決につながるような支援を広げる狙いもあり、来年度も引き続き取り組んでいく予定とのことです。県内企業を訪問中の産総研ICを紹介3 OKINAWA INDUSTRIALFEDERATION NEWS