ブックタイトルkouren651

ページ
7/20

このページは kouren651 の電子ブックに掲載されている7ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

kouren651

等があります。これらの商標の中には意図的に権利放棄をしたものもありますが、そのような結果を招いた理由として次の2点が挙げられます(日刊工業新聞社刊「工業所有権用語辞典」)。イ  優れた特徴を具えた商品に商標を付して宣伝広告した結果、極めて著名な商標となったにも拘わらず、商標の管理を怠り他人の不適当な使用に対し警告等を発せず放置していたため。ロ  特異な新製品に商標を付したが、その商品を指称するに当たって他に簡単で適切な商品名が見当たらないようなときは、一般の需要者は初めからその商標をもって商品名のように誤認して取り扱うことが多い。イの理由による普通名称化としては、前述「うどんすき」「正露丸」を挙げることが出来ます。ロの例としては正に前述「エスカレーター」ですね。それまで世の中に存在しなかった商品が出現しますと、新規商品であるため普通名称がありませんから、取引者・需要者は当然、商標名で特定することになると思います。したがって、そのような商品を開発したときには、商標の他に、取引の場を想定した普通名称も考えておかなければならないことがこれで判ります。さて、皆さん良くご承知の商品に料理に使用する「味の素」があります。味の素株式会社は早くから調味料を開発していて、特許権の関係からか競合他社はありませんでした。「加味品」を指定商品とする「味の素」の商標(正確には、文字のみから成る構成ではなく図形との結合商標)は、明治41年9月30日に出願された登録第34220 号ですが、特許権の関係もあり長年に亘って競業他社は無く、戦後暫くまで、この状況が続いておりました。そこで一般には「味の素」と言えば、当然、あの白いさらさらした粉末の調味料と理解されていました。正確ではないかも知れませんが、私の記憶では、昭和50年ころまで、テレビやラジオの料理番組で、「ここで、味の素を少々加えます。」と放送されたり、他社から同種の商品が発売されるようになってからは、小売店を訪れた消費者の中には「○○社の味の素を下さい。」とか「××社の味の素を下さい。」という言い方をしていたのを覚えております。「味の素」は私の感覚としては、正にその頃、普通名称になりかかっていたと言って良いと思います。しかし、同社は、その危険に気づき、商品を「味の素」と呼ばず「化学調味料」と呼ぶようになり、料理番組等でも同様に「化学調味料」と言うよう申し入れをしたと聴いております。同社が、もしこのような対策を採っていなければ、前述の「エスカレーター」と同じ運命を辿ったのではないかと思います。(因みに、最初に登録となったときの指定商品は、その後、書換登録により、第29類に属する「ふりかけ、即席カレーの素、ハヤシライスの素」及び、第30類「カレー粉、こしょう粉、さんしょう粉、ごま塩、すりごま、セロリーソルト、化学調味料」となっております。)次に、私が関与した普通名称化阻止の別の例をご紹介致します。静岡市にはごろもフーズ株式会社という食品会社があります。同社は、昭和33年11月15日に当時の区分第45類に属する商品を指定商品として「Seac hic ken」及び「シーチキン」の商標権を取得し、商品「マグロの油漬缶詰」にこの商標を付して販売を開始しました。この商品は、発売以来、順調な売行きを示し「シーチキン」の名は、広く消費者に知られるようになり、凡そ30年ばかり前には、家庭の主婦でこの商品を知らない5 OKINAWA INDUSTRIALFEDERATION NEWS