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概要

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てもらい、それを県内企業に販売する仕入販売スタイルに移行。現在、自社工場では缶や泡盛のキャップを製造し、ほかに物流資材販売、機械販売等を行っています。 玉城幹雄代表取締役社長は、「一斗缶は食油や塗料を運搬するための金属製の缶です。機密性が高く、品質保持に優れていることから業務用の容器として重宝されてきました。県内ではモズク業者を中心に使われていますが、最近はコストの関係で一斗缶を再利用したリサイクル缶を県外から購入したり、輸送費がかかる離島などを中心に容器を重ねて運べるプラスチックタイプの人気が高まっています。新しい缶はなかなか売れにくいのが現状です」と開発に至るまでの経緯を説明。「需要が伸び悩んでいるからといって弊社が一斗缶の製造を中止してしまうと、業者はいよいよ県外から購入せざるを得なくなります。そうなると、輸送コストを重視してプラスチック缶やリサイクル缶を選んだはずが逆に高くつくかもしれない。プラスチック缶は経年劣化の心配もあり、業者からはやはり缶がいいと言う声も聞こえました。そこで、弊社で従来の一斗缶のデメリットを見直し、リサイクル缶より安心でプラスチック缶より安い商品を作ろうと2年前から取り組んできました」 2年間試行錯誤を繰り返し、これまでの厚さ0・30mmを0・27mmまで薄くすることに成功。厚みを減らした分の強度は缶の側面に桟の役目を果たす模様を入れて補強し、モズクの保存輸送に使う場合を想定した荷重テストもクリアしました。 新一斗缶開発は昨年末に県内の新聞に取り上げられ、業者から大きな反響があったそうです。玉城社長は「リーズナブルに提供できる安心安全の一斗缶は立派な県産品。今後はもっとコストを下げられないか調整していきたい」と意気込みます。 玉城社長によれば、「4年前に巨額の資金を投入してラインを一新しました。工場の稼働率を上げるためにまずは新一斗缶の製造に取り組み、競争力をつけるつもりで、今後もいろいろと計画中です」 その一環として、人手不足解決のためにラインにロボットアームを導入することを計画しているそうです。「本土の会社と協力して、近々試験的に導入する予定です。現場からも作業効率改善について要望が上がっていました。これまで人が行っていた作業の一部をロボットが行うことで、社員の負担を減らせると思います」 また、ロボットアームの導入の目的は自社工場の作業効率アップだけにとどまりません。「今、さまざまな業界が人手不足です。ロボットアームでそれをカバーできれば、業界全体の生産性向上につながる。将来的には、本土の企業と提携してロボットを県内の企業に紹介する代理販売も視野に入れています。まずはぜひ弊社に見学に来ていただき、一緒にロボット有効活用のアイデアを探ってもらえれば、可能性は広がると思います」 創業60余年を迎え、時代の大きな移り変わりに製造業一筋では難しいと肌で感じた玉城社長。柔軟な姿勢でさまざまな顧客の希望に寄り添ってきました。「弊社は100年企業を目指していますから、今なにをするべきか、なにができるか、常に社員一同で考えています。今年は沖縄県の経営革新支援制度にも申込みましたので、採用されたあかつきには、さらなる商品の開発や機械販売などを通して県の地場産業を支えていきたい」と、沖縄県経済に尽力する熱意を語りました。現在も自社製造している県内酒造会社の泡盛のキャップ広い視野で将来を見据え、ロボットアームを試験導入一枚の鋼板から一斗缶を製造。丸く曲げた後に四角へ成形、底板をはめ模様を入れて整える。3 OKINAWA INDUSTRIALFEDERATION NEWS