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概要

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琉球大学 工学部 工学科 電気システム工学コース・准教授 山本 健一TEL:098-895-8706 E-mail : yamamoto@eee.u-ryukyu.ac.jp省エネルギーに役立たつ磁気測定と磁区観察連絡先:琉球大学 工学部 工学科 社会基盤デザイン・建築学コース内富山 潤(社会基盤デザインコース)/仲松 亮(建築学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町千原1番地TEL.富山 潤(098-895-8649)/ 仲松 亮(098-895-8901) FAX.098-895-8677(社会基盤デザイン・建築学コース事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-r yukyu.ac.jp 現在、電気エネルギーの約1/2はモーターで消費されており、その効率は電気エネルギー消費量に影響を及ぼします。モーターの鉄心として用いられている電磁鋼板の諸特性は、IECやJISなどの規格において、細かく測定法やランク(グレード)が定められており、商取引に利用されています。また、昨今の省エネルギー化の必要性から、当然ながら低損失化の要求にさらされ、より良い材料の開発やより良い使い方が求められています。 一方で、この電磁鋼板の特性は外部応力や温度などをはじめとする使用環境の影響を大きく受けるため、メーカーから提供されるカタログに掲載される値と使用時の特性との間に差が生ずるという、いわゆるビルディングファクター問題があり、機器の設計制作における問題として古くから知られています。今日では機器設計の段階で多くの環境パラメータを導入することで、この問題による設計誤差を少なくする取り組みが各所でなされていますが、使用時の環境によって特性劣化は避けられないことから、正確に各使用環境下における特性変化を正確に測定・評価するとともに、その効果を科学的に理解する必要がでてきました。 一般に磁性材料は材料内部に磁気的な構造(磁区構造)を持っており、材料の使用条件等によってこの形状や挙動は変化し、磁気特性とも深く関連することが知られています。我々の研究室では、磁気測定結果と磁区観察を対応させることで、応力下で使用時の特性変化を測定と理論的観点から理解し、それを低損失化に役立てることを目指しています。図は磁気Kerr効果顕微鏡による磁区観察結果の一例です。写真中の白と黒に見える領域は磁区と呼ばれ、互いに磁化ベクトルが反対向きに整列していて、内部はさらに複雑な形状を持っています。この磁区は磁界によってその形を変えますし、その挙動は損失の発生と密接に関係しています。磁気測定と磁区構造の変化を対応させて損失の変化を理解することが一つのテーマになっています。また、効率的な磁区観察手法の開発もしています。 一方で、磁性材料は磁歪とよばれる磁性材料の寸法が磁界によって変化するという性質を持っているのですが、これを媒介として応力が磁性材料内部の磁区構造と磁気特性を変化させます。この性質を利用して例えば、圧縮力を鋼板面と垂直に印加することで、鋼板面内(つまり磁化方向)の透磁率が向上することが理論的に予測できますが、実際に測定してみると限られた条件下でこの効果が得られることが分かってきました。現在、損失の変化に対応した磁区構造を進めており、正確な磁気測定と磁区観察を推進することで、今後、外部応力を利用した磁性材料の磁気特性の改善に役立てることがさらに期待されます。図1 無方向性電磁鋼板の広範囲高倍率磁区観察例11 OKINAWA INDUSTRIAL