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工学部工学科電子情報通信コース教授 山里将朗項では,沖縄未来半導体研究会の紹介をしたいと思います.近年,IoTやAIを用いて,生産・流通コストを極小化し、生産性を向上させる第4次産業革命が話題となっています.また,トリリオン・センサーといわれる構想が提唱されていますが,これは,年間1兆個(現在の約100倍)のセンサーをネットワークに接続し,あらゆる分野へのビッグデータの適用を広げることで社会を一変させる可能性を持つとされています.これらの中核を担うのが,各種センサー・通信素子で,半導体バブルとも言われる状況が続いています.しかしながら,半導体素子の製造・開発には膨大な土地と豊富な水,電力の他,数千億円規模の投資等が必要となるため,本県のような離島県では条件を満たすことが極めて困難となります. 一方,産業技術総合研究所の原史朗氏をリーダーとしてミニマルファブと呼ばれる新しい半導体素子作製技術の開発が行われています.同システムでは,クリーンルームを必要とせず,100 V のコンセントのあるビルのワンフロアを工場として運用できるため,工場建設の投資額は千分の一以下の数億円とすることができます.また,1 プロセス1 分で終了するため,数十工程を経て作製する素子は約60 分で完成します.IoT 等の用途では,車載機器や産業・業務機器などの用途で少量多品種半導体の需要が高まることが予測されていますが,ミニマルファブでは1 個単位で製造が可能であり,注文を受けてから1 週間で納入することが可能となるほか,月産4 万個程度までの量産にも対応できるため,半導体でのジャストインタイムが実現できるとされています. 以上のように,これまでの半導体工場と大きく異なる概念の国産技術が,開発から事業化段階へと移行しつつありますが,同技術は当県においても十分運用可能なもので,新規リーディング産業としての大きな可能性を持っていると考えております.将来的にはネット上で注文を受けた素子を1 個単位で当県で作製し,国際物流ハブを通して世界中へと届けることも期待されます. このような中で,内閣府沖縄総合事務局,沖縄工業高等専門学校,琉球大学の三者により,沖縄県にミニマルファブを中核とする半導体関連事業展開による知的集約産業の涵養を目的として「沖縄未来半導体研究会」が発足しました.これまでに研究会を5 回開催し,産総研や物質材料研究機構,豊橋技科大の他,県内外企業のべ約50 社,百数十人が参加して検討を続けております.昨年2 月の第4 回研究会は産総研出前シンポジウムと共同で開催し,ミニマルファブシステムの開発リーダーである原史朗氏や産総研九州センター,沖縄県工業連合会会長の呉屋守章様にもご参加頂きました.このときの様子は工連ニュース2017 年3 月号(Vol.628) でも紹介されています. 今後は,沖縄科学技術大学院大学や参加企業を増やし,産総研,沖縄県,内閣府,県内外企業と協力体制を広げていきたいと思っています.そのために9 月26 日に産総研の原先生をお招きして OIST で研究会を予定しております.さらに,OIST・琉大・沖縄高専にて,研究・教育の枠組みとして,文科省のOPERA(産学共創プラットフォーム共同研究推進プログラム)等の大型研究資金申請を行い,当県での製造業の振興へ活動を続けていきたいと思っております.本連絡先: 琉球大学工学部工学科内天久和正(エネルギー環境工学コース)/神田康行(機械工学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地TEL.天久和正(098-895-8624)・神田康行(098-895-8631)FAX.098-895-8636(機械工学コース・エネルギー環境工学コース 事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jp沖縄県における新規半導体産業の展開を目指して―沖縄未来半導体研究会の紹介―琉球大学工学部後援会からのお知らせInformation yamazato@eee.u-ryukyu.ac.jp19 OKINAWA INDUSTRIALFEDERATION NEWS