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連絡先: 琉球大学工学部工学科内天久和正(エネルギー環境工学コース)/神田康行(機械工学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地TEL.天久和正(098-895-8624)・神田康行(098-895-8631)FAX.098-895-8636(機械工学コース・エネルギー環境工学コース 事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jpロバスト制御とその普及に向けて琉球大学工学部後援会からのお知らせInformation図1 ロバスト制御系設計・制御対象のモデル・不確かさの情報・制御性能仕様制御器琉球大学工学部工学科電気システム工学コース・准教授 長堂 勤nagado@tec.u-ryukyu.ac.jp空機やロケットの自動操舵、工作機械やロボットの位置制御、石油・化学工業における温度や圧力制御など多くの産業分野で「制御」が活用されています。制御においてはセンサーなどで入手した情報をもとに、希望する位置や温度、圧力を達成するため、どのような操作を加えるかということが非常に重要となってきます。その目的のため活用されるのが制御理論となるわけです。伝達関数を中心とする古典制御理論は非常に長い歴史を持ち、これまで多くの分野で活用されてきたのですが、その限界も見えてきています。その1つが複雑なシステム、要素間において互いに影響を与え、干渉するようなシステムには古典制御の適用が難しいということです。そこで現れたのが現代制御理論であり、複雑なシステムを数式を用いて表現し、それを元に制御を行います。制御対象を数式で表現したもの、これを数式モデルと呼びますが、これにより制御システムの安定性や制御性能を確実に得ることができるようになりました。しかしながらその数式モデルが不正確な場合には当然、それらを達成することが難しくなります。厳密に正確な数式モデルを求めることは困難で、非常にコストが掛かる作業です。また正確に表そうとすると、モデルが複雑になりすぎて設計に利用できないという問題もあります。そこで考えられたのが、数式モデルに、ある程度の不確かさを許容し、不確かさが存在しても制御システムの安定性や性能を保証する設計法を確立することであり、それがロバスト(頑強)制御と呼ばれているものです。代表的なロバスト制御設計法としてH∞制御、μ-設計法があり、徐々に活用されてきています。 不確かさを持つ数式モデルを用いるという、言わば現実に則した制御系設計法であるロバスト制御ですが、図1にあるようにその設計の際には制御対象の数式モデルに加え、不確かさの情報や制御性能の仕様を与えるため、得られる制御器は複雑で高次元なものとなるのが通常であり、そのままでは実装することが困難です。そこでロバスト制御器を簡単化すること、すなわち低次元化する必要があります。しかしながら、そのまま単純に低次元近似すれば安定性やロバスト性の劣化が生じることがあり、そこで考えられた対策が図2のように低次元近似の際、入出力側に重みフィルタを取り付けることです。元の制御器の持つ安定性やロバスト性といった優れた特性を保持するため、重要な周波数領域において近似度を上げようとする考え方によるものです。この重みフィルタの適切な選択により、特性劣化の少ない低次元ロバスト制御器が得られることが確認されています。このようにして得られたロバスト特性をもつ低次元制御器を用いることで、安価なハードウェアにも十分実装可能となり、今後ますます、その活用が拡大されるものと期待されます。図2 重み付き低次元化航入力重みフィルタ被低次元化制御器出力重みフィルタOKINAWA INDUSTRIAL 12FEDERATION NEWS