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概要

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琉球大学工学部工学科知能情報・教授 名嘉村盛和行システムをモデリングするための数理言語であるペトリネットは,1962年にカール・アダム・ペトリによって導入されて以降,理論及び応用研究が活発に行われてきました。ペトリネットは事象間の順序関係,資源割当等の事象の生起条件が明示的にモデル化できるだけでなく,時間の概念を導入した時間ペトリネットを用いれば,時間に関する定量的な分析も可能となります。また,ペトリネットは数式だけではなく図で表現できるため,他のモデリング言語と比較して,直感的で分かりやすいという優れた特徴があります。 図1 に示すように,ペトリネットは○で表されるプレース,長方形で表されるトランジッション,プレースとトランジッションを繋ぐアークでシステムの構造を表します。また,プレース内の黒丸はトークンと呼ばれるもので,その配置でシステムの状態を表現します。図の最上段のペトリネットで示されるように,トランジッションt1 に入る全てのアークの始点プレースにトークンが配置されているとき,t1 は発火可能であると言います。トランジッションの発火は何らかの事象の生起に対応づけられます。t1 が発火すると,その入力プレースからトークンが取り除かれ出力プレースにトークンが配置されます。真ん中のペトリネットがt1 発火後の新しいトークン分布となります。さらにt2 が発火することで最下段の状態になります。このようにペトリネットはシステムの構造,動作,状態変化をシンプルな表記法と発火ルールで表現することができます。 さて,本研究では,ペトリネットでモデル化されたシステムの設計,あるいは動作を最適化するための一つのアプローチとしてペトリネットに基づく数理計画の自動生成の研究開発を行なっています。ユーザーは自身の領域の知識を活用してグラフィカルにペトリネットをモデル化することで,自動的に最適化問題に必要な数理計画を生成します。具体的には,最適資源割当て,最適スケジューリングに対応する混合整数計画問題という種類の定式化を自動的に行います。生成された数理計画は,既存のソルバーツール(無償または有償のソフトウエア)を用いることで解くことが可能ですので,ユーザーは数理計画を自身で定式化することなく業務等の改善が図れます。図2はサトウキビ生産プロセスのペトリネットモデル,図3 は自動生成されたサトウキビ生産スケジューリングのための混合整数計画問題の例を示しています。 本研究の今後の展開の一つとして,機械学習を活用したペトリネットモデルの自動生成を進めています。システムのログデータを学習することで,ペトリネットモデルを自動生成できれば,今回の数理計画の自動生成と連携してシステムの自動改善を行うことが可能になります。並連絡先: 琉球大学工学部後援会事務局天久和正(エネルギー環境工学コース)/神田康行(機械工学コース)〒903-0213 沖縄県中頭郡西原町字千原1番地TEL.天久和正(098-895-8624)・神田康行(098-895-8631)FAX.098-895-8636(機械工学コース・エネルギー環境工学コース 事務室)【E-Mail】kouenkai-office@ml.tec.u-ryukyu.ac.jpペトリネットに基づく数理計画問題の自動生成琉球大学工学部後援会からのお知らせInformation morikazu@ie.u-ryukyu.ac.jp図3 生成された混合整数計画問題図2 サトウキビ生産のペトリネット図1ペトリネットの例OKINAWA INDUSTRIAL 18FEDERATION NEWS