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概要

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 釉(‘ゆう’又は‘うわぐすり’、焼き物の表面を覆っているガラス質の部分)は各陶器事業所で独自の配合を行っているため、一部の事業所では製品に意図しない貫入(釉に入ったヒビ割れ)が生じました。   そこで、貫入が生じない陶器製造技術の確立に向けて、壺屋陶器事業協同組合(以下、壺屋組合)と取組みました。 貫入のイメージを図1に示します。壺屋組合を通して採取した透明釉(基礎となる釉) 、素地土、化粧土の熱膨張率( 線熱膨張係数)を測定したところ、‘透明釉と素地土との熱膨張率の差’と‘聞き取り調査した貫入の有無’に関係性が認められました。 ほとんどの素地土の熱膨張率は4.7~5.4(×10- 6 /℃)の範囲内で、透明釉は4.9~8.1(×10-6/℃)と両者に違いが認められました。これは、透明釉の熱膨張率が貫入の発生に大きく関わっていることを意味します。 そこで、迅速評価法として、透明釉の化学組成を用いた熱膨張率の推定に取り組みました。その結果、透明釉の組成に関するアルミナ-シリカ性状図(図2)から焼成後の釉の外観(‘光沢有’と‘光沢無’)が推定でき、光沢有の透明釉では補正式(図3)を用いることで熱膨張率が推定出来ることを確認しました。素地土の熱膨張率と比較することにより貫入発生の予測に利用できます。 壺屋組合が生産する素地土は壺屋組合の事業所だけではなく、他の陶器事業所、焼物教室などに広く利用されています。当研究で得られた知見を参考に、貫入が生じない陶器製造の技術相談に対応することで、県内陶器関連事業所全体へ、その成果を還元できると期待しています。 工業技術センターは、壺屋焼に用いる原料の品質安定化に向けた取組みを行っています。今回は、壺屋陶器事業協同組合と共同で取組みました「壺屋焼製品の高品質化」の研究内容についてご紹介いたします。工業技術センターは、県内製造業への技術的支援を通して産業の活性化に貢献することを使命として事業に取り組んでいます。「製品の開発に関して技術的なアドバイスがほしい」、「製品の品質を上げたい」、「研究開発の支援がほしい」などの技術課題解決や新製品・新技術開発の支援が必要な場合にはお気軽にご相談下さい。沖縄県工業技術センター 技術支援班、企画管理班〒904-2234 沖縄県うるま市字州崎12番2 TEL:098-929-0111 FAX:098-929-0115E-mail:kousi@pref.okinawa.lg.jp  (メルマガを始めています。)ホームページ:http://www.pref.okinawa.jp/site/shoko/kogyo/index.html釉薬の化学組成から貫入の発生を予測する!-壺屋焼製品の高品質化-工業技術センターだよりInformationOkinawa IndustrialTechnology Center研究紹介生産技術研究班 かんにゅう貫入は釉薬と素地・化粧土との相互関係です。両者の熱膨張率に大きな差があると貫入が発生します。陶器製食器などに貫入が生じると、水が浸みるだけではなく、食品からの臭いがつく可能性もあります。 釉薬講習会を9月末に工業技術センターで行う予定です。ご興味のある企業の方は、お気軽にお問い合わせ下さい。図1 貫入のイメージ図図2 透明釉のアルミナーシリカ性状図(アルカリのモル数を1とした時のアルミナ、シリカのモル数)図3 透明釉の熱膨張率実測値と推定値21OKINAWA INDUSTRIALFEDERATION NEWS